1968年のバイク世界一周旅行

その95
 
私のバイクは傷みが激しく、売れるようなバイクでなく、
一瞬、パキスタン・インド国境で捨てようかと思ったが、
ロサンゼルスからインドまで走ってきた
バイクに愛着が湧いてきた。


そこで、インド国境係官の責任者に強引に会わせてもらい、
再交渉することにした。
すると、この責任者は、私がパキスタンの日本大使館へ行き
「このバイクは日本へ持ち帰るものであることを保証する」という
お墨付きをもらってくれば、入国を認めると約束してくれた。


日本大使館が民間人のために、そのようなお墨付きを
出してくれるかどうか疑問であったが、
インド国境からパキスタンのイスラマバードまでの
約150キロの道のりを日本大使館まで引き返し、
お墨付きを書いてもらうことにした。


たった150キロほどの距離であったが、
ロサンゼルスからインド国境まで、すでに三万キロ近き走ってきた
私には、同じ道を三回も行き来することは
心身共に非常に疲れたが、
パキスタンの日本大使は気持ちよく、お墨付きを書いてくれ
私は無事インドへ入国できた。