1968年のバイク世界一周旅行

その35


ルート66を走り州境に来ると「Come Again」とか
「Welcome To・・・」と、ひと目でわかる大きな標識版
が必ずあった。
アリゾナ州の過ぎるとニューメキシコ州である。
この州は標高九百メートルから三千九百メートルと
高低差の激しい州で、
走っていると急に寒くなったり、
暑くなったりと気温の変化が激しかった。


面積は日本より少し小さい州であるが、
当時、人口は百万(現在は二百万)と少なく、
日本なら何時も視界に入る民家もほとんどなく、
人に出会うのはガソリン・スタンドかレストランに
立ち寄った時だけだった。


ときどき、赤土色の丘に身を潜め
獲物を狙うようにスピード違反者を
待ち受けるハイウェイ・パトロールの警官に出会った。


何度か停められたが、この辺りでは水のない平原に迷い込み、
渇水死する事故が時々起こるので、
十分な水を持っているか、
ガソリンは十分かどうか
親切に確認というか、調べるためだった。


私は途中で買ったキャンプ用の
テント地の水筒に水を入れ、
ハンドルにぶら下げて走っていたが、
適当に冷え最高の水筒であった。