1968年のバイク世界一周旅行

その91


いつものことであったが、
集落に入り道端で休憩していると、
バイクや外国人である私が珍しいのか、
子供や何もすることがないのか、大人までが私を見世物のように
遠巻きに囲み眺められた。


日本でも江戸末期から明治初期、
外国人が日本の地方を旅していると
同じように、子供や大人までもが、その外国人旅行者を囲み
珍しいのか、眺めたていたそうだだから、
それと同じようなものだった。


そのうちに、私を囲んでいる子供たちの一人が戯れて
私のヘルメット触ると、それをきっかけに、
一気に周りの子供たちが、私のヘルメットを叩きだした。
子供たちだけなら笑って済まされるが、
大人たちまでが叩き始めた。


彼らは冗談のつもりだろうが、
黙っていると、その叩き具合が強くなり
止めることをしなった。


もう我慢の限界であった。
私は一気に立ち上がり、
一番強そうな大人の胸蔵をつかみ足払いすると、
タイミングよく決まり、その男は地面にもんどりうって倒れた。


それを見ていた周りの子供も大人も、
蜂の子を散らすように散った。
この時、初めて「ジュード」の権威のありがたみを知った。


反面、中近東の小さな集落の道端で休憩していると、
どこでも群衆が私を囲むので、
タバコが欲しいときは、群衆に向かってタバコをくれというと
身振りで要求すると、あっという間に二十本ほどタバコは集まった。