1968年のバイク世界一周旅行

その103


おだてられ、ホイホイと1960年代の米国留学と
バイク世界一周旅行について、
記念にと500部自費出版したが、
「人生の途中下車」というタイトルが悪かったのか、
タダで差し上げようと決めていたが
「読んでやる」という人は、ほとんどいなかった。


自己顕示欲が弱いのか、気が小さいのか、謙虚なのか
私は著書を読んでほしいのだが、積極的に
「読んでください」と宣伝しなかった。


著書が出来上がった時は、若い時の経験を「作文集」
にしただけで私は満足であった。


定年後は交際も少なくなり、夜のネオン街も関係なく、
タバコもやめていたので、500部50万円の出版費用は
気にならなかったが、
狭い部屋に積まれた著書が、粗大ゴミ化する恐れが大になり、
不安になりだした。


意を決し、私は業界OB会のクリスマスパーティの席で
著書の詳細を述べ、読んで戴くことを願い出た。
すると反応は悪くなく、あっという間に、ある程度の数ははけた。


それに気をよくした私は、人に会うと著書のことを軽く宣伝し
もらって戴いた。
そのうちに、大分狭い部屋も片付き、
自費出版した「作文集」のことも忘れ、
ゴルフや旅行と日々の生活に戻っていた。


ある日、1980年代、バイクで世界を旅行したライダーたちの
経験談を一冊の本にまとめ出版準備している人を知った。
私はまだ部屋の片隅に残っている「作文集」の宣伝にもなると思い、私のバイク旅行談も載せてもらえないかと、
1980年代のライダーたちの出版責任者に願い出ると、
彼は、1960年代にバイクで世界旅行したライダーのことを
知ったのは初めてで、出版社を通じ出版したらどうかとアドバイスをくれた。