1968年のバイク世界一周旅行

その39


テキサス州の入ると、ルート66に沿って
途切れることなく遥かかなたまで、
金網の柵が伸び、その中は見渡す限りの広大な牧場で、
数え切れないほどの牛が、自分たちの運命を知る由もなく、
のんびりと牧草を食べていた。


その上には、透き通るような青く静かな空が広がり、
ジェームス・ディーン主演の映画「ジャイアント」に出てきた
油田のポンプが規則正しく上下に動き、
オイルをくみ上げるシーンを思い浮かばされた。


静かで広大な空が覆いかぶさって
くるような雄大な風景の牧草地の端に
私はバイクを停め、寝そべって、ゆっくりと流れる
雲を眺めていると、いつの間にか眠り込んでいた。


アマリオ、テキサス州を通り抜け、隣のオクラホマ州へ入ると、
トウモロコシ畑だろうか、青々とした畑が地平線まで
広がっていた。


もともとオクラホマ州は、アメリカ中のネイティブ・アメリカン(インディアン)を強制的に移住、隔離したところである。
隔離されたネイティブ・アメリカンたちは、
何度となく自分たちの土地への脱出を繰り返した。


アメリカ政府は彼の命の綱であるバッファローを
大平原から組織的に駆逐し、絶滅に追いやり、
「兵糧攻め」にして、強制的にこのオクラホマ州の保留地に住まわせるようにした。